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10代から30代の人の『がん』 2週間で人生を決断する理由とは

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こんにちは、町なかの『まっさん』です

 

あなたは「AYA世代」ってきいたことありますか?

なんだとおもいます?


アムロ世代」とか「あゆ世代」みたいなイメージですよね
もちろん人気モデルの「AYAさん」のことでもありません

 

じつは、<strong>AYA世代とは、Adolescents and Young Adults”の頭文字で、「思春期と若年成人」の人たちのことをいいます

だいたい10代後半~30代くらいの人たちです

 

この世代の人たちの特徴は、学業にしても仕事にしても、生活そのものが未来に向かっています。さらに、身体的にも活力があり、病気に対しても「耐性」がでてくる時期でもあります。

 

そのため、社会保障的には、「医療より自立」に主体がおかれてます。例えば、学費助成や就業支援など、AYA世代をサポートするのは未来的な支援が多いです。

 

その分、(全くないわけではないですが)医療分野のサポートはそのほかの世代にくらべ薄くなります。15歳までは医療費無料であったり、40歳以降は介護保険が使えるたりしますよね。

 

一方でAYA世代はとても重要な世代、ほかの世代にはできないことがあります。

なんだと思います?

 


それは、「男女とも子どもをつくること」です。

将来のパパ・ママ世代なんです。

 

そんなAYA世代のひとが『がん』にかかってしまったら。。。
AYA世代が『がん』になるということとは。。。

 

今回はAYA世代の「抗ガン剤」治療から、AYA世代の心理発達と妊娠につてつらつら書いてあります。

 

AYA世代がガンになること

 AYA世代が『がん』になったときの心理状態を一言でいうと、「将来の喪失(そうしつ)感」です。

 

AYA世代とは思春期から青年期です。「自立」と「依存」の境界ですね。その時期に「がんになる」といことはどのような心理なんでしょうか?

 

『がん』になったAYA世代の発達心理</br>強制的に”大人”になること

 

この時期は、自立と依存が共生している時期です。

あなたも経験したことがありませんか?

親の考えに反発しつつも、親に「自分」を認めてもらいたいといった両面的な心理状態。。。

 

親を頼らず自立したい気持ちと、それでも親との心理的なつながりを持ちたいとう思春期ならではの精神状態ですね。

 

この時期は「アイデンティティの獲得」の時期なんですね。

アイデンティティの獲得は、現在おかれている組織や人間関係の中で悩みや不安などをきっかけに「自分自身とはなんだろう?」「自分自身はこうなんだ!」と考えながら獲得していくものですが、この時期に「がん」になると、「がん治療」が優先となり、時間をかけて「自分自身」について考えることが困難になります。

 

「がん治療」は忍耐の連続です。

とてもつらい状況です。

 

「がん」であるという事実そのものがまずショックです。

それを受け入れ、さらに「がん治療」は身体的、心理的、時間的制約に耐えなければならないわけです。

 

この、がん治療への「忍耐」は子供を急速に”大人”にします。ただし、それは表面的なものです。いいかえれば、強制的に短時間で「大人」にさせられているわけです

 

内面は子どもなのに、表面(理性)では大人を演じなければいけない状況ではフラストレーションがたまります。

 

この「マイナス」の感情は、「がん治療が終了」というトリガーによって噴き出してきます。

「なんでもっとのびのび過ごせなかったんだろう」
「もっとやりたかったことがあるのになぁ」
「みんなに”がん”っていいにくいよな」
「あいつはいいよな、好きなこと出来て」
「恋愛したかったなぁ」

など、当たり前の「人間関係」や「経験」ができなかったことに対して

「そんな時間はもうとりもどせないいんだ」

といった感情が徐々に、怒り、悲しみ、喪失感、あせり、絶望感に変わっていきます。

 

そして、そのどうにもならない感情は、内面に向かえば「気力の喪失や自暴自棄」、外面に向かえば「暴力や反抗」などで表面化します。

また、友人や恋人に「がん」であることを打ち明けることができず、彼らに違和感を感じている人が多いです。


”がん”と告白したとたん距離感ができた。
そもそも”がん”であることを言えなかった。

 

なんて意見が多いですね。AYA世代が「がん」ななることはそれそどに心理負担が大きいことなんですね。

 

彼ら彼女らにとって「がん」はアイデンティティ獲得の機会を奪い、そして彼らは将来への希望と取り戻せない過去の2重の喪失を受け入れなければならないんです。
きついことだと思います。。。

 

『がん』になったAYA世代の発達心理

「子どもをつくること」と「生きること」の選択

 
次に、AYA世代の「妊孕性(にんようせい)」について考えていきましょう。

 

「えっ、にんようせいってなんなん??」

ちょっと聞きなれない言葉ですよね。

 

「妊娠」のことです。

「じゃあ妊娠でいいじゃん」とのこえが。。。

でも妊娠とはちょっとちがうんですね。。。

 

ん~、男女ともに子どもをつくる生理的な力や機能というほがわかりやすいかな。。。

「妊娠」という言葉は「女性」に対する生殖能力ですが、男性の生殖能力も含めた言葉が「妊孕(にんよう)」ということですね。

 

AYA世代のがん治療は、単に「自分が生きる」だけでなく、「子どもを生かす」ことも考えなくちゃいけない世代なんですよ。

 

だから、それ以外の世代のがん治療とは決定的に違う問題、AYA世代特有の問題が妊孕(にんよう)性となります

 

妊孕性温存とAYA世代のがん

 

AYA世代が「がん」になると必ず直面する問題が「子供をつくること」の影響です。抗がん剤治療(下に書きます)は、生殖機能に影響をあたえます。さらに手術となれば生殖器の温存が課題となります。

AYA世代の妊孕性と心理

 

 

AYA世代、特に10代の人にとっては、妊娠や子育てなどは遠い将来に感じられます。具体的なイメージがなく、実感できないため「子供をつくる能力」を残すか残さないかを自分だけで選択するのは、とてもむずかしいことです。

 一方で、AYA世代は、心理的自立が強く現れる時期でもあるため、自分のことは自分で決めたいという強い気持ちもあります。

ですが、

「がんになったのは自分のせいだ」

「親に迷惑をかけてしまった」

という『自責感』や『罪悪感』から、親や医療者のいうことに自分の意志とは反して従う傾向があります。つまり、AYA世代には『自分で決めたい』と『自分で決めてはいけない』とい心理面の葛藤(かっとう)があるんです。

 

もちろん、親や医療者の適切なアドバイスは必要です。

 

が、ここで重要なのが適切なアドバイス・様々な意見を受け入れ自分のことは自分の意思や責任で決めることが絶対的に重要なんです!


親を含め自分以外の人に『生き方』を決められることは、将来の心的逃避(投げやり・人のせい)につながります。

 

このような観点からいうと、周囲の大人たちは

「本人の意思決定がスムーズに行えるように、妊孕性の温存だけでなく「がん」治療においても、信用できる医療情報や医療者の支援を行えるようにする」

ことが重要になります。

 

「オススメ医療情報」載せときましたので参考にしてください。

    オススメ医療情報

 

がん治療が妊娠へどのように影響するか

 

がん治療には「抗がん剤」が使われます。抗がん剤がAYA世代使われるときに問題になるのが「子どもをつくるか」です。まずは、抗がん剤がAYA世代の生殖能力にどう影響するか解説します。

 

抗がん剤卵子精子にダメージをあたえるって?

 

人の身体は細胞でできています。その細胞は日々分裂・増殖を繰り返して私たちの身体を維持しています。この分裂・増殖がコントロールできなくなった状態を(ざっくりと)「がん」といいます。

 

多くの抗がん剤は細胞の分裂を強制的にとめる薬です。ですから、細胞分裂が激しいところに一番に影響がでます。「がん細胞」は激あつ分裂細胞なので抗がん剤の効果がでます。

 

ところが、ヒトの細胞には「がん細胞」以外人も分裂が激しいところがいくつかあります。その一つが、生殖細胞(母細胞)です。一般的にいうと「卵子精子」などですね。

 

さらに抗がん剤は、一般の生殖に関係する周辺の細胞や血管も攻撃するため生殖関連機能が全体が落ちます。このため、女性なら排卵がおきない「無月経」、男性なら精子が造られない「無精子症」となります。

 

症状がどれくらい発症して、それがどれくらい長く影響するかは「抗がん剤の種類とリスク」で解説します。

 

妊娠の可能性を残す方法を紹介

 

妊孕(にんよう)性の温存とは、将来の妊娠の可能性を残しながら「がん治療」をおこなうことです。妊娠出産を希望する人たちとっては、かなり厳しい選択になると思います。

 

「生きる」か「生かす」かの選択であり、時間との戦いでもあります。

もちろん、「がん」治療が最優先なのですが。。。

 

まずは選択の目安は”2週間”

 

抗がん剤治療まで2週間未満の場合


次のどちらかまたは同時にすすめます

  • 卵巣凍結
  • GnRHアナログ

卵巣凍結とは、卵子をつくる部分の一部あるいは全部をとりだして凍結保存する方法です。抗がん剤治療が終了したあとで、卵巣を解凍、再移植することになります。

 

 

メリットは時間的に厳しい状況でも妊娠の可能性を残せることや排卵周期に影響されない点です。大量に卵子を保存できる点もメリットになります。

 

一方のデメリットは、卵巣にがん細胞が入っていた場合、再移植することでがんの再発があることです。

 

GnRHアナログが、抗がん剤が卵巣に悪影響をあたえるのを予防する効果があるとの報告から試験的に行われている方法です。臨床的に卵巣不全の減少や妊娠率のUPとの報告があるものの不明な点もおおいほうほうです。


抗がん剤治療まで2週間以上ある場合

 

さらに、受精卵凍結や卵子凍結などの方法が選択できます

  • 卵巣凍結
  • GnRHアナログ
  • 受精卵凍結
  • 卵子凍結

受精卵凍結とは、成熟卵子精子を体外で受精させた受精卵を凍結保存する方法です。
抗がん剤治療終了後に、解凍した受精卵を子宮内にもどすことで妊娠を成立させるこのになります。

 

受精卵凍結は最も臨床数が多い方法なため信頼性が高い方法です。一方で排卵周期に左右されることや治療段階で精子提供が必要な点がポイントとなります。

 

卵子凍結とは、成熟した卵子を凍結する方法です。受精卵凍結と同じくらい臨床数が多い方法で、治療段階での精子提供も必要ありません。しかしながら、受精卵凍結にくらべ妊娠成功率は安定していません。

 

抗がん剤の種類とリスク

 

抗がん剤がどれくらい生殖能に影響を与えるかは、抗がん剤の「種類」が強く関係しています。ただし、放射線治療と併用する場合も生殖機能に影響があるため「単純に」抗がん剤だけで妊孕(にんよう)性の評価はできません。

 

 

ここでは、抗がん剤により生殖機能にあたえる影響を「リスク」とし、女性なら「永続的無月経」、男性なら「永続的無精子」の状態が起きる可能性の点から抗がん剤のリスクを評価しました。

 

表) 抗がん剤を単独で使用したときの妊孕性リスク

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まとめ

 

AYA世代が「がん」になること”がん治療”の課題だけでなく妊孕性という、ほかの世代にはない課題があります。

 

また、AYA世代は青春のど真ん中、進学・就職など環境がダイナミックに変化する時期でもあります。このような時期に「がん」になることは身体的にも『心理』的にも負担となります。

 

また、妊孕性を考えるとき「治療」か「生殖」かという判断がもとめられます。

期限は2週間です。

その他の方法もありますが「がん」再発のリスクが高くなります。